パーキンソン病

パーキンソン病とは

 パーキンソン病は、多くは40歳以後に発症し、手足のふるえ、筋の固さ、動作の遅さ、歩行の拙劣さ、転びやすさなどの症状がみられる病気です。最初から全部の症状がそろっているわけではありませんが、発症して数年経つとこれらの症状の大部分がみられるようになります。初期の症状で一番多いのは手のふるえです。

図1.パーキンソン病患者さんの姿勢
図1 パーキンソン病患者さんの姿勢前屈みで膝も曲がっています。
  1. 手足のふるえ(振戦);
     最初は左右どちらかで、次第に両側がふるえるようになります。パーキンソン病のふるえは手足を動かさないで安静にしている時にみられるのが大きな特徴です(安静時振戦)。これはほかの病気のふるえが手足を動かしているときだけに現れて、休めているときには現れないのと対照的です。
  2. 筋の固さ(固縮、強剛ともいいます);
     本人にはわからない症状ですが、診察のために手や足を曲げたり伸ばしたりすると、強い抵抗を感じます。手首の屈伸をしてみると歯車をまわしているようなガクガクガクとした抵抗が感じられます。これは筋の緊張が高まっているためです。
  3. 動作の遅さ(無動);
     日常のすべての動作が遅くなり、動きが乏しくなります。健康なひとが無意識におこなっている運動もできなくなります。そのため、まばたきが少なくて表情のない、硬い顔つき(仮面様顔貌)、小さくて聞き取りにくい声(小声・早口)、字が小さくなる(小字症)などの症状がでます。歩くときも腕の振りが消えて歩幅も小さくなります。このため、日常生活すべてに時間がかかるようになります。極端な場合は一カ所に凍り付いたように同じ姿勢をとりつづけることもあります。
  4. 転びやすさ(姿勢反射障害);
     この病気になって少し時間が経ってから現れることの多い、やっかいな症状です。健康なひとは立っているときや歩いているときに、少しバランスを崩しても反射的に足を出すことで倒れないようにできますが、この病気ではそれができずに転びやすくなります。また、転んだときにとっさに手で体を守ることができず、けがをしやすくなります。転びやすさの現れるころにはすたすたと歩くのも困難になり、前屈みの姿勢歩幅の小さな歩き方になっています(小刻み歩行)。足が床にへばりついたようになり前に進めない「すくみ」症状や、歩いているとだんだんと小走りになり止まれない症状(加速歩行)もみられます。

 以上がパーキンソン病の主な症状ですが、そのほかにもよくみられる症状として自律神経障害精神症状があります。自律神経障害では便秘が最も多く、あぶら顔、多汗、よだれ、起立性低血圧などがみられます。精神的には抑うつ的になるひとが多いことが知られています。 パーキンソン病の診断は、これらの症状があって、それがパーキンソン病の薬をのむことでよくなれば、ほぼ間違いありません。CTスキャンやMRIでは異常がみられません。

 パーキンソン病と似た症状がみられるものをパーキンソン症候群とかパーキンソニズムといいます。それらの原因としては、脳血管障害、他の変性疾患、薬剤性などがあります。意外と多いのが、ほかの病気をなおすために飲んでいる薬によっておこる薬剤性パーキンソニズムです。この場合はパーキンソン病と比べて症状の進み方が速いのと、左右差が乏しいという特徴があります。この場合、その薬の服用を止めれば速やかによくなりますので、飲んでいる薬のチェックはとても大切です。

 この病気は周りの人にうつるという心配はなく、遺伝もしませんが、若年で発症したヒトではごくまれに遺伝性の原因があることが知られています。パーキンソン病は今のところ完治させることは無理ですが、治療でよくすることが可能ですから、ここに書いたような症状のあるひとは、早いうちに神経内科の専門医に相談することをおすすめします。


次回はパーキンソン病の原因について掲載します。