人の体はたった一つの受精卵が分裂を重ねて出来上がります。数百億の神経細胞を含む脳においても、細胞が次々に分裂を繰り返し、成長して複雑な構造を作っていきます。
脳の形成には、私たちの体がもともと持っている遺伝子のはたらきと、脳が成長していく際の環境とが非常に重要な役割を果たします。
胎児の発育の途中で遺伝子や母体に何らかの障害が起こると、その後の脳の発育と機能に重大な影響を及ぼすことがあリます。
例えば、代謝異常症、脳奇形、子宮内感染症などです(下図)。遺伝子診断や画像診断の進歩に伴い、これらの異常の発見が容易になっています。
神経研では、これらの病気の新たな治療法や予防法を開発するため、臨床機関と協力しながら、その発生機序に関する病理学的・分子生物学的研究を進めています。
| 発生異常 | 正常発生 | |
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(1) 細胞の核内にある体の設計図である遺伝子にキズがつき、全身の代謝が障害されると、神経細胞に異常な物質がたまり脳障害が起こります。 |
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(2)受精後3〜4週: 神経系のもとになる神経管ができますが、その形成が障害されると、例えば脊髄が皮膚の外に飛び出すといったさまざまな構造異常が起こります。 |
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(3) 受精後5〜6週: 神経管から脳の各部が発生しますが、この過程が障害されると、例えば大脳が左右に分かれないといった構造異常が現われます。 |
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(4) 受精後2〜5月: 細胞分裂により発生した神経細胞は移動し大脳の形成に参加しますが、この移動が障害されると、例えば大脳皮質に溝がほとんどみられないといった構造異常が現われます。 |
![]() ![]() 正常発達した脳の断面 |
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(5) 妊娠の後半: 脳形成は完成に近づきますが、母親が感染症などにかかると、稀に脳の一部が壊されてしまうことがあります。 |
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